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Blogger's Avatar  2019-2-2 17:34
 更新が大変遅れて,月をまたいでしまいました。ここ2週間ほど,副鼻腔炎や咽頭炎といった症状が続いており,一時ほとんど声が出なくなっていたのですが,回復して仕事には特に支障はなくなっているのですが,そこに多忙さが加わり文章を書く余裕がなくなっていました。お待たせしてしまい,申し訳なく思っています。今回は,自身の体験もありますので,身体症状のプロセスワーク的視点ということで,僕自身のワークの気づきも含めて書きたいと思います。
 心と身体のつながりは,深層心理学の世界でも想定されることでした。古くはフロイトの事例でも,無意識で起こっていることが転換症状と呼ばれる身体の一部が動かなくなる症状につながっている指摘がありますし,ユング派ではC.A.マイヤーなどが心身相関に関する著作がありますし,最近では,R.ボズナックがドリームワークを身体と関連させたアプローチの発展があります。そのような系譜の中で,ユング心理学と量子物理学を援用して心と身体の共時性を明確に論じ,その理論の中心として出発したのがアーノルド・ミンデルのプロセスワーク(プロセス指向心理学)といえます。医療分野を見ても「心身症」と呼ばれる主にストレスに起因する身体症状は枚挙に暇がないほとありますし,フォーカシングや身体心理学という分野もまた独自に発展していたり,様々な形で身体的アプローチは広がりを見せています。古来,日本では東洋哲学の影響もあり「心身一如」という言葉が広がって,武道でもよく言われています。最近学び始めた合気道でも,「心身一如」は前提となっていて,それを背景とした感覚の使い方のような教えも稽古の中であります。長年学んできた野口整体でも,心の働きが身体の動きに表れていることは,活元運動や個別指導などで実感してきました。

 プロセスワークでは,身体症状が無意識レベルの自分自身へのメッセージとして表れていることを,身体に起こっていることの意味として気づきを向けていきます。代表的な著作としては,『身体症状に<宇宙の声>を聴く』があり,僕が開催する最近の「音」や「声」に関するワークショップでも依拠している部分が大きいですが,心と身体の共時性がタイトルそのものに表れている著作ですね。どのような身体的アプローチも,身体感覚をていねいに微細に感じとっていく過程は共通しているように思いますが,プロセスワークは比較的ダイナミックに展開していくことが大きな特徴と言えるでしょう。結構大きな動作に展開することも多く,最初は戸惑う部分もあるのですが,シャーマニズムに通じるものもあり,無意識の深いレベルで宇宙の智恵ともいえるメッセージを受け取ることが可能になります。メッセージといっても,オカルト的な意味合いではなく,大きな意味では人生におけるテーマへの問いに対して,答えやヒントあるいはインスピレーションが得られるようなものです。これは,ワークの体験を通してでないと,言葉の説明などではなかなか伝えることが難しいものでもあるので,プロセスワーク関連のセミナーやワークショップで体験されることをお勧めします。

 とはいえ,何か事例的なものがあった方が伝わりやすいとは思いますので,最近の副鼻腔炎などの身体症状について,僕自身がワークした流れやそのメッセージを簡潔にですがシェアします。鼻の奥の身体感覚をていねいに感じていくと,細菌か何かが増殖して炎症として広がっていくというイメージになっていきました。それを手の動きで表現していき増幅するように展開していくと,何か大きな造形を創り上げるアーティストのような存在に自分がなっているような感覚で,今度はその存在になりきって作品を創っているように自覚的に身体の動きまで広げていきました。その存在から,僕が直面していたあるショックな出来事の意味への問いに対するメッセージを発すると,「そなた自身の人生を創造せよ。どのような造形美を表したいのか、明確にすることで歩むべき道が見えてくる」という内容にまとまりました。抽象的ですが,世界に否定されたようなショックな出来事が,僕自身の大切な部分を損なわせるような環境への否定であったので,自分自身を活かすような人生を創造することの自覚が弱まっていたことに気づかされました。そこから,自分のやりたいことや進みたい方向性を改めて明らかにして,環境を改善する努力を進めるという自分の軸を取り戻してきています。長引いていた副鼻腔炎が,その直後に抗生剤が変更されて徐々に快方に向かっているのも,共時的なプロセスと感じています。このように,無意識的な気づきが得られると,身体症状が改善していくということもよく起こります。プロセスワークは,「レインボー・メディスン」と呼ぶ代替医療的なアプローチの側面もあり,深い智恵とともにより豊かに生きることをサポートしてくれると実感しています。

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