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Blogger's Avatar  2014-11-27 2:06
 毎度のことながらという感じですが,更新が遅れてごめんなさい。今月は風邪から体調を崩してしまい,何とか通常の仕事をこなしてきたという感じで,気がついたら月末になっていたという状況です。今年も気がついたらそろそろ12月ですが,やり残しのないような1年の締めくくりにしたいですね。今回は,最近の心理業界(?)の動向とその雑感を書いてみたいと思います。
 まずは,解散総選挙の流れが出てきたこともあるのか,公認心理師の法案提出が流れましたね。盛り上がりに水を差すので触れないようにしていたのですが,見ている限りでも国会の審議というものがとても流動的な感じがしていて,重要法案でも流れたというような話がよくあるので,そんなにスムーズにはいかないだろうなとは思ってました。でも,医療系の心理職にとっては国家資格は長年の切実な願いでしょうし,何とか早い時期により適切な形で実現してほしいと願っています。ただ,長期戦で考えておかないと,息切れしてしまわないかと心配にもなります。個人的には,シャーマニック・アウェアネス・サポートを主軸にしていく方向性の関係で,それほど重要性があるわけでもないのですが,動向は把握していきますし,特に医療機関との連携に関しては,これからも必要なケースがあるでしょうから,この資格をどのように自分の仕事の中に位置づけていくかを考えていきたいと思います。

 公認心理師から派生する話ですが,公認心理師が成立すると,特に医療分野では認知行動療法が推進される流れになりそうです。今でも,医療機関の求人などを時々情報として眺めていると,認知行動療法ができる人だったり身につける意欲がある人などを条件にしているところが多く目につきます。そういう背景もあるのか,大学院生のほとんどが認知行動療法を志向する風潮があるようです。欧米の動向も強く反映されているのでしょうが,西洋医学の観点からはエビデンスに基づいていこうという方向性で親和性があるので,アピールも上手だとは思いますがとにかくこの動向は確実な感じがします。ただ一方で,認知行動療法がオールマイティなわけでもなく,個人的にはその効果の範囲も限定的だと感じているので,クライエントさんの状態や特性によって柔軟に対応できる統合的心理療法という方向性がもっと大事にされてほしいと思います。特に,大学院生や初心の臨床心理士が認知行動療法ばかりに熱心で他の理論や技法を軽視しがちなことに懸念を示す先達の声は多く耳にしますし,僕も同じ想いです。

 今後は,社会的には認知行動療法が主流になっていき,深層心理学などはマイナーになっていくのは避けられないように感じます。ただ,深層心理学やその系統に惹かれる人々は,それほど大きく減っているわけではなく,むしろ合理化・効率化されすぎた現代社会のあり方に疲弊したり自分自身を見失ってしまったりして,何かのきっかけで無意識の知恵の奥深さに魅力を感じるような人は,一定の割合で増えているように感じます。最近のうつ病の増化などは,合理化・効率化の犠牲になった心が悲鳴を上げているサインであるように思えます。うつ病からの回復過程でそれまでの生き方を問い直し,生き生きとした日常を取り戻す方などを見ていると,やはり症状が無意識からのメッセージとしての意味を内包していることに確信が深まっていきます。シャーマニック心理学協会を立ち上げたのも,合理化・効率化へのアンチテーゼの意味で,深層心理学を基盤にした新しい価値観を共有できる人の輪を広げていきたいという願いがあるからです。主流ではないところに本当の価値があることも多いと想いますので,細くても連綿とつながっていくような流れを作っていけるように努力したいと想います。

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