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Blogger's Avatar  2015-9-30 22:40
 今月は,ついに月末ギリギリというタイミングの更新になってしまい,お待たせしてごめんなさい。プロセスワークのトレーニングの機会が多かったり,僕自身のテーマへの取り組みがいろいろと出てきていて,慌ただしく日々が過ぎていきました。かろうじて,連休にリフレッシュもできたのですが,なかなかブログに手が回りませんでした。そうこうしている間に,公認心理師法が国会で正式に成立しましたので,それと臨床心理士資格との兼ね合いについて書こうと思います。
 公認心理師のアウトラインは法制化されましたが,細かい制度や運用のようなところはこれからまとめていくことになるのだろうと思います。大学卒業+一定の実務経験でも受験可能になるということで,諸事情で臨床心理士の指定大学院に入ることが難しかった人でも,公認心理師なら可能性が出てくるということになるでしょう。ただし,大学卒業で実務経験を得ることも,恐らくハードルは高いと思います。何しろ,現状の新たに資格取得した臨床心理士が,特に首都圏は飽和状態にあるので,大学院修了の臨床心理士が仕事を見つけるのにかなり苦労している様子です。この状況では,大学卒業だけで実務経験を積める場所というのは限られてくるのではないかと思っています。この辺りも,現場レベルのシステムまで考えて進めていかないとなりませんし,実際の運用レベルでクリアする必要のある検討点は,まだまだたくさんあるのではにないかと考えています。

 臨床心理士の位置づけも様々に議論されている様子ですが,公的に認知度が高いとはいえ民間資格ですから,国家資格である公認心理師が広まっていけば,やはり一般的な認識としては名称としての信頼度は公認心理師が高くなっていくでしょう。臨床心理士の資格制度が今後どのような方向性をとるのかはまだわかりませんが,さらに高い専門性があるという実績に基づく信頼を得られていかないと,難しいかもしれません。開業系は個人か法人を含む組織かによらず,個々の信頼度にかかってくると思いますので,影響がそれほど大きくはないように感じています。また,公認心理師の試験内容やカリキュラムにもよりますが,例えば認知行動療法のような,保険制度との絡みなどで効率性を重視する方向性になじむものが中心になるとすれば,深層心理学やトランスパーソナル心理学などの分野は,臨床心理士の資格の方になじみやすいようにも思います。いずれにせよ,何らかの差別化が求められるでしょうから,推移を見守っていきたいと思います。

 ここまでも,僕が個人的に感じていることを書いているだけですので,公認心理師の制度や臨床心理士の資格がどうなっていくかなどを,僕に聞かれてもわかりません。特に個人開業の身としては,一人ひとりのクライエントさんと向き合って信頼していただける仕事を積み重ねていくだけです。僕の方向性としては,公認心理師を並行して取るとすれば,医療モデルに基づくカウンセリング/心理療法を公認心理師を中心に考えていき,成長モデルに基づく自己成長プロセスワークという方向性は,臨床心理士を中心に考えていくことになるのかなと思ってはいます。医療モデルには最近,ある程度の距離を置いているのですが,それでも精神症状を抱える方の依頼が減っているというわけでもないので,そのバランスを僕自身の中でも考えながら,今後のスタンスや方向性を模索していきたいと思います。相変わらず更新が遅れがちでお待たせしているのに,楽しみに読んでいただいている方がいるのは大きな励みです。これからもよろしくお願いいたします。

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