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Blogger's Avatar  2013-7-26 16:29
また大幅に更新が遅れてしまってごめんなさい。新しい仕事の依頼の打ち合わせなどでしばらく忙しくて,長文を書く余裕がありませんでした。6〜7月は梅雨時期と季節の変わり目が重なって,調子を崩す方も比較的多いのですが,最近,割と身近な心理職に精神症状が強く出ているという話を聞いたりしているので,今回は,カウンセラー/セラピスト自身のメンタルヘルスについて,書いていきたいと思います。
 カウンセラー/セラピストという職業は,「心が強い」といったイメージを持たれることもありますが,もともとはいろいろなことを繊細に感じとりやすい人が多いのです。メンタルケアについては専門ですから,自身の状態も把握して日々ケアしていくようにはしているので,仕事上はあまり揺れないという意味で強いと感じられる場合もあるでしょうけど,内実はいろいろと抱えていることも多く,バランスをとるのに苦心している人の方が多いかもしれません。むしろ「心が強い」などと豪語しているカウンセラー/セラピストの方が,無意識に自分の弱みを覆い隠そうとする傾向があるように感じます。自分の弱さを受け容れつつ,いろいろなことを繊細に感じ取れるからこそ,クライエントさんの心に寄り添えることにつながるのだと思います。そして,そのような繊細さのバランスをとっていくために,自身のメンタルヘルスを保つためにいろいろと工夫していく必要があると言えるでしょう。

 また,カウンセラー/セラピストに限らず,対人援助職と呼ばれる職業を目指すような人は,「人の役に立ちたい」と意識的/無意識的に思っている人が多いと思います。それはそれで尊いことではあるのですが,時に自身のコンプレックス(“劣等感”の意ではなく,無意識の感情が複合したもの)と結びついて,その想いが暴走するような形になることがあります。例えば,少し前にも事件がありましたが,「認められたい」という欲求と絡み合うと,他者を危険に陥れてそれを助ける自分に酔うという形で表れたりもします。これは極端な例としても,いわゆる「メサイア・コンプレックス」と呼ばれる,人を救うという動機の背景が自らの救世主願望であったりすると,クライエントを無意識に利用して依存させたりして,有能なセラピストであることに酔うといったことが起こります。また,それが上手くいかないとクライエントを責めたり精神的に不安定になったりしていきます。こういった自分の無意識的な傾向に気づいていくために,教育分析を受けるなど,カウンセラー/セラピストが自分を見つめ直す機会を継続的にもつことが必要になります。

 カウンセラー/セラピストもプライベートの生活を持つ普通の人間ですので,プライベートでいろいろなことを抱えたりもしますし,仕事の上でも対人関係や組織上の制約などで大変なことがあったりもします。そして,そのような問題が,クライエントの無意識で起こっているテーマと絡み合って,セラピストが巻き込まれていくこともあります。これが,広い意味での「逆転移」と呼ばれるものですが,もともとセラピスト自身の傾向として,逆転移を起こしやすい人がいます。クライエントへの思い入れが強いタイプがそれに当たります。面倒見がいいとも言えるのですが,特に1対1のカウンセリング/心理療法の中では,距離が近すぎて共倒れになりかねない危険性を孕んでいます。施設内などでは,他のスタッフとのバランスで何とか保てる場合もありますが,多くはバーンアウトしてしまったり,うつなどの精神症状を患ってしまったりして,長く続けられなくなりがちです。人としては素晴らしくても,自分がつぶれて長く続けられない仕事のしかたをしてしまうのでは,プロとしては失格と言わざるを得ません。自分が陥っている問題に,自身で気づくことはプロでもなかなか難しいので,スーパービジョンを受けるなどして自分の仕事を振り返る機会を持つことが大切だと思います。

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