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Blogger's Avatar  2017-3-2 23:07
 確定申告の作業が,ほぼ2月いっぱいかかってしまい,また投稿が翌月にずれ込んでしまいました。投稿した前半ぐらいをメールマガジンにも載せるので,当月中には書こうとしているのですが,毎度お待たせしてしまってごめんなさい。ようやく少し落ちついたので,今後はせめて当月中には書きたいと思います。今回は,僕自身の経験も踏まえて,臨床心理士の教育領域の仕事について書きたいと思います。
 週3日ながら開業していることもあり,オフィスに関する内容が多いのですが,現在も週2日で勤務先があります。4月からは,スクールカウンセラーにも入ることになったので,勤務仕事の関係は教育領域が大部分を占めるようになりました。現在の勤務先は,臨床心理士の資格取得以来で11年になりますが,教育相談という仕事になります。教育相談というのは,主に小学校の就学前から中学生までの児童生徒に関する相談を受ける公立の機関ということになります。ほとんどは市区町村の教育委員会の組織の一部で,相談員は週2〜4日の非常勤が多いと思います。どちらかというと,心理職は保護者の面談を担当することが多いようですが,僕が勤務しているところは子どもたちを担当しています。相談は大きく分けると,不登校や不適応についてのものと,就学相談と呼ばれる特別支援教育を受けるかどうかの相談に分かれます。発達障害があると特別支援教育という発想をされる方もいらっしゃいますが,その子の特性に応じて適切に学んだり成長するのにふさわしい場を考えていくことになります。不登校や不適応も,知的・発達的な要因があれば就学相談に入ることもありますし,その特性を把握するために知能検査を取ることがあります。もちろん,心理的なアプローチが有効であれば,プレイセラピーやカウンセリングを行うことになります。

 心理の相談員は,子どもたちと主に遊びや対話を通して関わりながら観察した特性と,必要に応じて実施した知能検査や心理検査の結果を考慮して,総合的にアセスメントを行います。それを担当指導主事や保護者担当の相談員と共有して,今後の相談の方向性を検討していきます。心理的なアプローチは,職場によっても異なると思いますが,僕が勤務しているところはほとんどの場合その担当者に任されています。もちろん,教育相談という大枠の中で行うものなので,守るべき大筋というのはありますが,基本的には子どもや保護者が子どものことに関して直面している困難が緩和したり改善したりするように考えていきます。僕自身は,プレイセラピーが主体で,カウンセリング的に対話していても,遊びの話題を通して遊びの感覚が出てくるように関わることが多いですね。一方で,発達相談や就学相談では,WISCを中心に検査をとることも業務としては結構なウエイトを占めています。検査を取るだけでなく,保護者も理解しやすい形で所見の形にまとめていくことも,保護者や担任などが子どもをより的確に理解していく助けになるので重要です。

 教育相談員は一般的に学校の外の機関で相談を受ける一方,スクールカウンセラーは学校の中にいて,教職員と連携・協力しながら児童生徒がより楽しく充実した学校生活を送れるように様々な相談を受けます。児童生徒本人の相談はもちろん,教職員や保護者の子どもに関する相談にも応じます。教育相談はほとんど予約制だと思いますが,スクールカウンセラーは学校という子どもたちの日常の中で関わりをもつのが大きく違います。スクールカウンセラーも,ある程度は予約の形を取ることは可能ですが,ほとんどの場合は週1回の勤務ですので,教職員との情報共有をしながら,普段の児童生徒の学校生活を観察したり関わりを持ちながら本人の相談につないでいくという流れになると思います。教育相談では,一人ひとりに丁寧に関わることが可能ですが,スクールカウンセラーは学校での子どもの様子や周囲の関係性などを直接見ることができるので,児童生徒を理解する角度が違ってくるように思います。これまでは,教育相談だけでしたので,学校で起こっていることは想像するしかない感じでした。まあ,同じ子どもを両方から見るわけではないのですが,より具体的に想像しやすくなると思います。今後は,スクールカウンセラーの経験も増えていくので,相互の経験を活かして相補的に進めていけるように感じています。その中で考えたことなどを,また機会を見て書いてみたいと思います。

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