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Blogger's Avatar  2017-12-27 17:58
 今年も残すところ,あと数日となりました。風邪が長引いていましたが,ようやく治って年末年始をゆっくり迎えられそうです。みなさんも心身をケアしつつ,よいお年をお迎えください。今年最後のブログになりますが,僕自身が離婚のプロセスをたどってきて,いろいろ取り組んできたこともあり,パートナーシップについて書きたいと思います。
 ブログでも何度か,僕自身が転換期にあるといったことを書いたと思いますが,人生のひとつの大きな節目となったのは,離婚したことでしょう。背景には,僕自身の心理的な変容や成長が進むにつれて,それまでのパートナーシップにおける関係性のズレが大きくなったというのが大きな要因としてあります。僕自身に「中年期の危機」が訪れ,数年かけて取り組んできた中で,見ないようにしてきた関係性のズレに直面する形になり,話し合いを進めて離婚となりました。その中で,パートナーシップに関して改めて学んでいき,僕自身の問題として体験を通して深めていくことにつながりました。ひとつには,対人援助職などで深層心理的に自分自身と向き合うような仕事を選んでいる人は,離婚率が高くなるということがあります。何度か書いていますが,カウンセラー/セラピストのような心理的な対人援助職は特に,自分自身のテーマと向き合うことが必須になってきます。そうする中で,変容や成長を遂げていくために,パートナーシップの関係性にズレが生じやすいのです。もちろん,深層心理学などとは無縁に暮らしていても,生きていく中で様々な経験を通して誰しも自分と向き合う機会はあり,変容や成長はしていきます。その場合でも関係性のズレは生じますが,それを自覚する感度が違ってくるように思います。感度が高いと,自分の中で無視できなくなるというか,そこにまた取り組んでいくので,離婚や別れという現実的な形になりやすいと言えるでしょう。

 反対に,この関係性のズレに無自覚でいると,どちらかまたは両方が浮気や不倫に走ったり,DVやモラハラなどが起きたりして,関係性がもつれて相手を傷つけてしまいがちです。それを防ぐためには,できるだけ深いレベルでのコミュニケーションをとって,お互いの理解を深めていくことが大切と言えます。僕自身も,そこはあまりできていなかったという反省があるのですが,小さい頃のトラウマ的な出来事との関連もあり,難しかった側面もありました。浮気や不倫などは,基本的には日常のパートナーシップの関係性のズレに無自覚で,その漠然とした満たされないものを埋めようと非日常の相手に求めていくことで起こると言えます。DVやモラハラは,もともとのパーソナリティの問題と区別する必要はありますが,関係性のズレから生じているのであれば,パートナーを責める形で同様の満たされなさから逃れようとする行為と言えます。さらに,トラウマを含むお互いの傷つきやユング心理学で言うところのコンプレックスなどが絡み合うので,当事者で同士のコミュニケーションと言っても,困難な場合も多くあります。また,異性の間では,よく脳の特性の違いが指摘されるように,普通にコミュニケーションを取るのもなかなか難しいものがあったりします。必要に応じて,自己理解を深める個人セッションやカップルカウンセリングなどを,専門家に依頼することも勧められます。個人セッションだけでも,関係性の問題について様々な気づきを得ることができ,一方のあり方が変わることで,関係性も大きく変化し改善することが可能になります。

 どのような人間関係においても,相手は鏡のように,その人のある側面を映し出していると言えます。自分の嫌な部分を相手の中に見てしまうので,相手を責めてしまうということがよくあります。でも,その前に自分の嫌な部分に気づき,向き合うことで成長していければ,より良い関係を築いていくこともできます。パートナーシップを築こうとする相手ならば,その気づきも共有してお互いに自分の問題として引き受け,一緒に取り組んでいくことで,絆や愛を深めることができます。自分の問題として引き受けるのは,それぞれの心理的な自立も必要ですし,場合によっては苦しいことですが,その過程をも共有して一緒に乗り越えていくことが,パートナーシップを通して得られる貴重な宝のようなものにつながるのだと思います。また,関係性によるトラウマを含む傷つきは,関係性の中でこそ癒されようと浮上してくるものでもあります。だからこそ,恋愛やパートナーシップにおける関係性というのは,気持ちが揺さぶられることも多く,様々な形の困難も多く経験しますが,関係性でしか得られない癒しや成長もあります。僕自身も,離婚のプロセスを大きな学びと成長につなげて,新たに恋愛やパートナーシップを通して,貴重な宝のようなものを見つけていけたらと願っています。そして,その経験も心理的サポートに活かしていき,恋愛やパートナーシップにおけるより良い関係性のあり方を,多くの方に広げていければと思います。

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